動物の骨格標本からいのちを学ぶ 矢部「麻布大学いのちの博物館」

横浜線矢部駅から徒歩約5分の場所にある麻布大学。ここには、獣医系大学ならではの動物たちの骨格標本を多く展示する「麻布大学いのちの博物館」があります。

わが子は現在中高生となりましたが、小学生の頃は何度も足を運び、子ども向けのワークショップなどにも参加した思い出の多い博物館です。
今回、夏休み中の生き物大好きな高校2年生の息子と一緒に、久々に親子で訪れてみました。

いざ、不思議がいっぱいの動物の骨の世界へ

麻布大学の正門を入ってすぐの場所に、いのちの博物館はあります。

入館料は無料です。月曜~金曜日の10時~15時半まで開館していますが、電話による事前予約制になっています。来館する際には公式Webサイトの開館情報を確認しておきましょう。

エントランスから館内へ入ると、館内を代表する展示物を集めた「博物館へのいざないコーナー」がありました。動物の骨、謎の臓器、古い研究道具など、わくわくする展示に期待が膨らみます!

いのちの博物館は、さまざまな動物の本物の骨格標本を数多く展示する博物館。麻布大学に持ち込まれた研究用の動物たちや、フィールドワークなどで集めた動物などを立体標本にし、展示しているのだそうです。

また、学術展示も多く、獣医学に触れることができる貴重な展示が見られることから、生き物好きが多く訪れている博物館です。

スタッフの山口さんにお話を伺ったところ、「保育園児の見学から高齢者の団体まで、幅広い年齢の方が来館されています。もちろん麻布大学の学生が、勉強のために訪れることも多く、多くの方の学びの場となっています」と教えてくれました。

入ってすぐの場所には、オオカミとイヌの骨格標本がありました。柴犬の骨格標本もあったのですが、あのむくむくしたかわいい柴犬の姿からは想像できないほど「骨ってこんなに細いんだ」と感じました。

哺乳類のコーナーには、大きなゾウやライオンの骨格標本がありました。山口さんにお聞きしたところ、この博物館の中で人間の骨格標本だけが、唯一本物ではないのだそうです。

ゾウ、ライオン、人間、イルカ、小さなハムスターなど。いろいろな哺乳類の標本が置かれているのですが、大きさは違えど、骨格の基本構造は同じであることがこのコーナーではわかるようになっていました。

ハンドウイルカの骨格標本。息をしやすくするために、頭の上に鼻がついています。イルカの歯がこんなに尖っているなんて知りませんでした!

小さなジャンガリアンハムスターの骨は本当に細くて、こんなに細い標本作れるんだ!と驚きました。

さらに、同じ哺乳類であるアジアゾウとは体重差が100万倍もあるのに、基本構造は同じなのだそうです。生き物って、本当に不思議ですね。

博物館で人気の展示は何ですか?と聞くと、「アナコンダです!」と教えてくれました。

このアナコンダは南伊豆にある動物園「iZoo」で飼育されていたもので、死亡後に病性鑑定のために麻布大学にやってきたと解説に書かれていました。死亡時は体長5.4m、体重144kgの国内最大のヘビだったそうです。小型の哺乳類を一口で飲み込むと言われていますが、その割に頭が小さいな……などの発見がありました。

こうしてみるとアートのような美しさもありますが、これだけ大きいと標本にするのはさぞかし大変だったでしょうね……。

館内でひときわ大きい展示物といえば、キリンの立体骨格標本です。長い首が特徴のキリンですが、実は頸椎の数は人間と同じ7個なのだそうです。人間とキリンは、同じ哺乳類だと改めて感じることができました。

長い脚も特徴的で、キリンの指は何本あるかなどを、観察して知ることができます。

歴史のある大学だからこその展示物も豊富

麻布大学は明治23年に東京麻布に開校され、昭和20年に戦災により施設が焼失したことにともない、相模原市に移転されました。130年以上の長い歴史を持つ大学であることが、博物館の展示からもうかがい知ることができます。

古い研修者の机には顕微鏡や標本、手書きのノートが展示されていました。レトロなタイプライターなど、歴史を感じます。

現在のような3Dどころか、写真も教材なども満足になかった時代。動物の体内の内臓の位置を示す模型教材を使って、学生たちは勉強していたそうです。

動物の体の中で、血管がどんなふうに走っているのか、内臓はどのようになっているのかを知るために作られた、プラスティネーション標本はまるでアート!

血管や臓器に、色のついた樹脂を流し入れて作られたものだそうです。歴史のある大学だからこそ、学術の発展への試行錯誤を目にすることができ、なんだか胸が熱くなりました。

貴重な骨に触れるハンズオンコーナー

館内の一画には、貴重な動物の骨を実際に触れるハンズオンコーナーがありました。大きなゾウの骨、鹿の骨、カメの骨などなど、たくさんの骨を自由に触ることができます。

ゾウの頭骨。本物の骨に触れる機会なんてなかなかない!

息子も興味深く、鹿の骨や亀の甲羅を触っていました。

こんなに標本を触れる博物館は少ないのではないでしょうか?と山口さんに質問したところ「実際に触れる場所は少ないかもしれません。そのため、生き物好きや生き物の骨に興味がある方が、遠方から来館することもよくあります」と答えてくれました。

フィールドワークで見つけた鹿の角もたくさん展示されていました。栄養状態の良い場所・悪い場所で見つかった鹿の角の違いなど、動物の住む環境についても考えさせられます。子どもたちの自由研究に、とても良さそうですね。

大学併設の博物館であることから、学生が博物館活動に参画する「ミュゼット」という学生組織があるそうです。イベント時などは、ミュゼットのメンバーが博物館を案内してくれたり、標本制作もしているのだとか。

この写真はミュゼットのメンバーが作っている透明標本。

特殊な薬剤で染められている標本で、アート作品としても人気があるんですよ。ミュゼットの作った透明標本は学園祭などで販売されているのですが、すぐに売り切れてしまうほど大人気。わが家も透明標本が欲しくて、昨年の学園祭では早めに来場して、なんとかゲットすることができました。

生き物のいのちを考えるきっかけになる博物館

博物館を二階から見ることができる場所もありました。

ここはキリンの目線で見ることができる場所。館内を一望することができます。ちょうど目の前にキリンの骨格標本があるので、よりリアルにキリンの目線を感じることができます。

エントランスには来館記念のスタンプコーナーがありました。
牛、鹿、柴犬(子犬)のスタンプがあり、日付印を捺して来館証明書を作ることもできます。

私は柴犬のスタンプを捺しました。子犬の柴犬なので、お腹がぷっくりしていてかわいい!とてもいい記念になりました。

博物館の名前にある「いのち」は動物たちの営みや環境、そして種を超えてなお共通する部分の多い生き物の不思議から、大切さを学ぶことができるのだと感じました。

この博物館は決して大きい博物館ではありません。ですが、長い歴史がある麻布大学にあり、その蓄積された学術や技術がぎっしりと、でもわかりやすく詰まっている博物館になっているのだと思いました。

小さなお子様から大人まで、いのちの大切さを学ぶきっかけになる博物館です。ぜひ一度訪れてみてください。

麻布大学いのちの博物館
住所:神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71
アクセス:JR横浜線「矢部駅」から徒歩約5分
営業時間:10:00-15:30
定休日:土曜日、日曜日、祝日、そのほか大学に準ずる
※電話での事前予約制。開館スケジュールは公式Webサイトをご確認ください。
TEL:042-850-2520
駐車場:なし

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。