下溝で歴史的建造物を見学!「旧中村家住宅」

以前紹介した「史跡勝坂遺跡公園」のすぐ近くには、もう一つ歴史的建造物があるんです。
「旧中村家住宅」は、住宅街にひっそりと佇む、和洋折衷の洋館。建築の形式が珍しい幕末の建物とのことで、さっそく見学してきました!

現存している唯一の「擬洋風建築」

旧中村家住宅は、平成18年に国登録有形文化財に登録されました。
江戸後期の富豪である中村家の6代目当主が立てたお屋敷で、建築は鎌倉大工さんがなんと10年もの歳月をかけて完成させたんだとか。詳細な設計図が、今も残されているんだそうですよ。

江戸幕末期に多くみられた「擬洋風建築」という形式で、当時は最先端のスタイルだったそうです。
擬洋風建築で建てられた建物はとても貴重で、現存しているものはこの「旧中村家住宅」のみなんだそうです。

勝坂というと、いまではのどかな郊外といった雰囲気ですが、江戸時代の幕末に擬洋風建築を立てられるほどの大富豪がいたなんて驚きですね。

旧中村家住宅の近くに駐車場はないので、先日紹介した勝坂遺跡の駐車場を利用してくださいね。
駐車場からは歩いて15分ほど歩くと、立派な門がお目見え!

家の前の門は、江戸を思わせる作りになっていました。

さっそく中に入ると、立派な洋館が目の前に!
1階部分は日本建築を思わせるデザインで、2階からは洋風を感じさせるデザインとなっています。

パッと見た印象だとまさに”洋館”といったところですが、よく1階部分を見てみると、まさに江戸時代のような造りになっており、1階と2階のギャップが興味深い外観でした。

土日は開館していますが、平日は月〜水は閉館しているので注意してください。閉館していても、外観は見学できるようです。

1階部分を見学!昔ながらの日本家屋を思わせる造り

さっそく中に入ってみます!
室内は昔の家屋の特徴である土間が広く取られていて、一段上がるところまでは土足で入れます。
土間のデザインは、今見るとおしゃれに感じますよね。玄関が広いおうちは、昔も今も憧れです。

土間の一部には、中村家と関わりの深い勝坂遺跡の説明書きがあります。

1926年、この豪邸を所有していた中村家の当主が所有する畑を耕していたところ、縄文土器らしきものを見つけ、のちに考古学者に提供。これがきっかけで「勝坂遺跡」が発見されたそうですよ。

見学できる式台の間とお茶の間に入ってみます。一面が畳となっており、置いてある家具や掛けものも歴史を感じるものばかり。

机の下を覗いてみると掘りごたつになっていました!

窓側には長い廊下もあります。まさに、昔ながらの日本家屋の造りですね。

見学していると、管理人さんが顔を出してくださり、「明かりつけてあげるよ〜」と声を掛けてくださいました!
とても気さくな方で、安心して見学ができましたよ。

階段の下には多くの収納家具が!

階段は全部で二つありましたが、そのどちらにも収納家具がびっしり置いてあったのが印象的でした。後から設置したものもあれば…

写真のように階段にくっついていて、最初から備え付けられているものもあります。
これは、階段箪笥(たんす)といって、江戸初期あたりから広まったタンスの型式だそうです。

見学可能な部分は1階のみ。2階は残念ながら見学できません。建物の中の和洋のギャップを感じてみたいですが…。
将来、見学できるように祈るばかりですね!

こちらは、大きな鉄の金庫です。こんな大きい金庫を保有していたなんて…。
相当なお金持ちだったことが伺えますね。

置いてあるもの全てが歴史を感じさせ、無料で見学できるのがもったいなく感じてしまいます。

外もとってもいい雰囲気です

外にも歴史を感じる井戸や庭園があり、とても贅沢な時間を過ごせます。

日本でも珍しい”擬洋風建築”で建てられた旧中村家住宅。歴史好きの方はもちろん、近所に住んでいる方や、近くを訪れた際はぜひ見学してみてください!

旧中村家住宅
住所:神奈川県相模原市南区磯部1734番
アクセス:JR相模線「原当麻駅」または「下溝駅」から「相武台前駅」行きのバスで「勝坂入口」下車 徒歩約5分
JR相模線「下溝駅」下車 徒歩約25分

電話:042-769-8371(文化財保護課)
営業時間:午前9時30分~午後4時
定休日:月~水(ただし、祝日は開館)及び12月29日~1月7日
休館日は外観のみ見学可能

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。